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フランス領タヒチ島から北西約240km。吾輩はついにボラボラ島に

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ボラボラ島1/BoraBoraIsland


ボラボラ島1/BoraBoraIsland
わが故郷の尾道を発って、もう20時間くらいは経つのだろうか。ようやく目的の地・モツムチというボラボラ島の空港に着いた。ほどよい疲れを通り越した身体をシャキッとさせ、タラップを降りた。途端に、信じがたい形状の山が目の中に飛び込んできた。まるで身震いしそうな神秘的な山の島が吾輩の目の前に聳えているのだ。ボラボラ島の空港は、ボラボラ島にあるものと思っていたが、空港は本島のボラボラ島から少し離れた小さな島にあった。
関西空港からエールフランス機に乗り、フランス領ポリネシアの中で最大の島、タヒチ島の国際空港パペーテまで、9,500kmを11時間40分という途方もないロング・フライトだった。猫であれば、頭からシッポの先までガチガチに固まってしまったという表現がぴったりで、全身をほぐすためは強烈に身震する必要がありそうだ。
タヒチ島と云えば、地球儀をオーストラリアから左に回して、ニューカレドニア、フィージー諸島とトンガを越えてサモア諸島。サモアといえば、あの有名な「パパラギ」が連想され、酋長ツイアビが出てきそうだ。それからもっと東へと、見ていたらやっとタヒチを発見。南大平洋のど真ん中にその小さな島々が書き込まれている。
いつもの癖で脇道にそれたが、これは避け難い吾輩の習性なのでお許し願いたい。パペーテから双発機に乗り、モツムチという飛行場だけがある島に着いて、そこから本島のバイタベの港まで船でトロトロ15分。港には専用のバスが待っていた。
このバスは、日本ではお目にかかれぬ代物で、椅子は公園のベンチのような木製、板バネのスプリングのクッションは極めて悪い。吾輩は、あの神秘的な山の頂きに目を奪われたまま、15分揺られ揺られて、終点のクラブメッド・バカンス村にやっと着いた。
クラブメッド(地中海クラブ)のバカンス村のプライベートビーチでは、美しい海に向かって長い桟橋が突き出ていた。バカンス村には、有能な日本人女性スタッフが3人いたが、彼女達は英語もフランス語も堪能のようだ。またこの小さな村のスタッフは、村長を筆頭に皆さん笑顔を絶やさず、宿泊客の日常の世話から夜のエンターテイメント(ミュージカルまでスタッフが演ずるのだ!)までオールマイティーで活躍する。彼等のサービス精神には脱帽せざるを得ない。
さ〜て、バカンス村には、ほかに二匹の犬と猫も居た。彼等の顔は、実にのどかで、昔、焼酎「いいちこ」のポスターにあった「リゾートとは、何もしないこと」というコピーをそのまま表現した生き方をしているようだ。吾輩も負けじとばかりにバカンス村の浜辺に横たわり、悠々と流れ行く雲や暮れゆく空が茜色に染まってゆくのを、ただジ〜と眺めているだけで、一日という時間の存在と美しい自然の豊かさを改めて実感する。
ちょっぴり探検心にかられ、レンタカーで70代半ばの母親とのアベックでボラボラ島一周と洒落こんだ。周囲約32kmだから、一時間もあればぐるりと廻ってしまう。レンタカーは可愛らしいフランス・フィアット製の玩具のような車で、まるで公園においてあるゴーカートのようだ。Simple is bestでさあ出発だ!!(2005年)
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